里親マッチングの本質を考える
- mune
- 4月15日
- 読了時間: 3分

「自分の子どもを愛おしいと思う理由を言ってください」
「その里親子が親子として相応しい根拠を示してください」
こんなことを言われて的確に答えるというのは大変難しいことだと思います。でも、少なくとも里親マッチングに関わったり、支援するような立場の人間なら、“人と人が親子になっていく過程”や“愛着が生まれる仕組み”を含め、“里親子になるということはどういうことか”本質的な部分の理解は必要だと思っています。
「里親になる」というのは、単に制度上の役割を果たすことだけではないと思っています。全てに当てはまるわけではありませんが、それは「親子になる」ということと同義であるケースも多いのです。ですから、そんな大切な関係を一定の基準や外部の評価だけで、その良し悪しを判断してしまうようなことがないよう十分な配慮が必要だと思っています。
「この子の親になりたい」「この子を大切にしたい」と思う“気持ち”は里親自身のものです。そして、その気持ちをどれだけ支援者が尊重し寄り添えるかということも、制度への信頼に大きく影響すると思います。
もちろん、最終的な決定権は行政や支援者側にありますし、支援者の判断は里親マッチングにとって非常に大きな影響力を持ちます。だからこそ、単に条件合わせや評価をするだけでなく、「親子になる」ための道筋を整えることこそが支援者の本当の役割だと思うんです。
もし「親子の道筋を整えるために最も重要なものは?」と聞かれたら、私なら「支援者の想いと覚悟」と答えます。
里親は、人生をかけて子どもと向き合うことになります。だからこそ、マッチングに関わる支援者もまた、「この子を大切にしたい」という想いと覚悟を持たなければならないと思うんです。それがなければ、一緒に苦難を乗り越えながら親子関係を築いていくための伴走は難しいと思っています。
これは里親当事者としての私の原体験に基づく感覚でもあります。
里親子のマッチングが全て上手くいけばよいのですが、残念ながらそうならないこともあります。支援者側が覚悟を持って伴走したとしても「まさか」と思えるようなこともあるかもしれません。しかし、どこまでいってもマッチングの最終責任は行政側にあり支援者側にあります。もちろん、里親に全く責任がないということを意味するわけではありませんが、仮に行政や支援者が一方的に里親の責任にしたところで、マッチングや里親支援の仕組みが改善され良くなっていくような土壌は醸成されないと思います。
今年からほだかの里は、里親支援センターとなり、今まで以上にマッチング等にも関わっていくことになると思いますが、課題は多いと感じています。昨年マッチングのガイドラインを作成しましたが、まだ十分ではありません。
私たち職員は、里親子関係に大きな影響力を及ぼす責任を持った立場にいるということを強く自覚したうえで、今後さらに里親支援業務に尽力しなければならないと実感しています。
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