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ベテラン里親だから安心?

  • mune
  • 10月27日
  • 読了時間: 2分

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先日、ある里親さんが印象的な言葉を話してくれました。


「“ベテランだから安心”って言葉、あれは支援者側の言葉だと思う。

私たち当事者は、そんなふうに思っていないし、そんなふうに言ってほしくもない。」


その言葉を聞いた瞬間、ハッとしました。


思えば、支援する立場にいると、つい「経験がある」「慣れている」ということに安心感を覚えてしまうことがあります。

「この方なら、ある程度のことは分かっているはず」「きっと上手く対応してくれるだろう」と…。

しかし、その“安心”という感覚が、いつの間にか当事者の方にとってプレッシャーや重荷になっていることもあるのだと気付かされました。

私自身も里親であり、かつ施設職員であるという立場上、そういったプレッシャーのようなものを感じ続けてきたので、この里親さんの言葉は他人事のようには思えませんでした。


「この人ならお願いできる」「ベテランだから安心」

その言葉には支援者からの信頼の気持ちが込められています。

でも同時に、その言葉を受け取る側の心には、「期待に応えなければ」「失敗できない」「頼まれたら断れない」といったプレッシャーが生まれていることもあると思います。


“経験があること”と“心に余裕があること”は、必ずしも同じではありません。

むしろ、経験を重ねたからこそ見えてくる現実の厳しさや葛藤の深さもあります。


何度も子どもたちとの別れを経験したり、支援の限界を感じたりする中で、「もう少し頼ってもらえる立場でいたい」と思う気持ちと、「もう少し頼りたい」という気持ちが同時に存在するようなこともあると思います。



支援する側の「安心」という言葉が、当事者にとって「重荷」になっていないか。

その言葉の裏に、相手の立場を思いやる“まなざし”が本当にあるのか。

ベテランという肩書きや経験年数ではなく、一人ひとりの現状や気持ちを丁寧に受け止めることが、何よりも大切なのだと思います。


“ベテランだから安心”ではなく、“この人の思いを大切にしたい”という姿勢で関わることが、里親さんたちが自分らしく、安心して子どもと向き合える環境を生み出していくのではないかと感じています。


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