母のオムライス
- inukai
- 11月10日
- 読了時間: 2分

「一番好きな食べ物はなんですか?」
これは自己紹介の時にたまに聞かれる質問です。
皆さんはこの質問になんて答えますか?
私は、この質問に対していつも答えが決まっています。
それは「オムライス」です。
なぜオムライスが好きなのかって?
もちろん味が好きで美味しいのもあるけれども、それ以上の理由があるんです。
それは「母の思い出の味だから」。
オムライスを好きになったきっかけは高校生の時です。
学校で上手くいかないことがあり、落ち込んで家に帰ったことがありました。
そんな私を見て、母は何か言うわけでもなく、そっとオムライスを作って夜ご飯に出してくれました。そのオムライスはケチャップライスの上に焼いた卵を乗せて、そこにケチャップでニコちゃんマークの笑顔を書いてくれたものでした。
きっと母からの「元気出してね」のメッセージだったと思います。
オムライスを食べてみると、とても美味しくて、母の味に安心して。
食べ終わる頃には元気になっていました。
そこから、私の元気がない時だったり、受験生の時は試験の前日に母はオムライスを作ってくれるようになりました。
そうするうちに、私にとって母のオムライスは元気がもらえるものになり、大好きな料理になっていきました。
時が経ち、今年から一人暮らしが始まりました。
自炊をするようになり、ある日母の作ったオムライスを再現してみました。
材料も作り方も同じで作ったはずなのに、食べてみると母のオムライスとは何かが違うんです。
なぜだろう…?
そうか、きっと「母が作ってくれた」ということが大事なんだと気づきました。
出来立てのオムライスを作ってくれて、ケチャップで笑顔のマークを描いてくれる温かさがきっとより美味しく感じていたのだと思います。
親の作ってくれる料理って、実家にいた頃は当たり前のように食べていました。
けれども、実家を離れてみて食べられなくなった時に恋しくなります。
そして仕事を始めて、仕事終わりに料理を作る大変さ、毎日献立を考える大変さを実感して、より親がご飯を作ってくれていたことへの思いが胸に響くようになりました。
ご飯を作ってくれたという母の思いはずっと心に残り続けるし、きっと母の味は忘れないのだと思います。
私にとって一番好きな食べ物は、きっとこれからも変わらず「母のオムライス」なんだと思います。
今度実家に帰ったら、次は私が母にオムライスを作って「元気でいてね」の思いを込めながらニコちゃんマークを書こうかな。







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