top of page

帰る場所があるということ

  • arisa
  • 8月4日
  • 読了時間: 2分

ree

今年の4月に実家を出て一人暮らしを始めました。

実家では父と母の3人暮らしで、3人で一緒にテレビを見たり、夜ご飯を食べに行ったり、たまに喧嘩することはあるけれど、穏やかに過ごしていました。

就職するにあたって一人暮らしをしたいと両親に話した時、始めは「うーん」と渋っていたけれど、許してくれたことに感謝しています。

そしていざ一人暮らしが始まると、誰もいない家に帰ること、いつもと違う部屋のベッドで眠る生活になかなか慣れず。

なんだかホテルに一時的に滞在しているような不思議な感覚がありました。


そんなある日、スマホにピコンとLINEの通知が。

見てみると、LINEは父親からで、「娘ロス😢」の文字。

一人暮らしをする前、父親とはLINEのやり取りがほとんどなかったり、プライベートのことをあまり私に聞かなかったりと、一歩後ろから見守ってくれるような人でした。

そんな父からのLINEに、驚きと嬉しさで心がほっこりしました。


それから久しぶりに実家に帰って感じたのは、今までにはない違和感でした。

例えばリビングの椅子の位置が変わっていたり、洗面所のハンドソープが変わっていたり。

些細な変化だけれども、自分が今まで知っている実家とは少し変わっていました。

台所に行くと、いつも置いてある湯飲みが3つから2つになっていて、私が使っていた湯飲みは食器棚にしまわれていて。

「あ、もうここは私の住む場所ではないんだな」と感じて、寂しさが心の中に押し寄せてきました。


一人暮らしでの生活に慣れず、「ホテルに住んでいてしばらくしたら実家に帰る」という思いが心の奥底にぼんやりとありました。

けれども実家に帰って、今まで自分が見てきた実家と変わっているのを見て、「実家を出た」ということにようやく直面した瞬間だったと思います。

そして寂しさと一緒に、自分の居場所が分からない宙ぶらりんな感覚になりました。


けれどもそんな時、父と母は「おかえり」と笑顔で迎えてくれました。

そして「元気か、ご飯はちゃんと食べているか」と声を掛けてくれました。

そんな父と母の温かさが嬉しくて、安心して。

そして思いました。

帰ってきたことを喜んでくれて、気にかけてくれる人がいる。

住む環境は少しずつ変わっても、そんな思いが、私の居場所になるのかもしれないと。


実家からの帰り道、もらったたくさんの手土産を見て、父と母の温かさにちょっと泣きそうになったのは、二人には内緒の話。

Kommentare


bottom of page