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【キャリア第二章】とんだブラック企業!? いきなり同期がバーンアウトした話

  • kubo
  • 8月18日
  • 読了時間: 4分

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住み込みでの生活 ― 児童自立支援施設の現場から

前回は「児童養護施設だと思って説明会に行ったら、実は児童自立支援施設だった」という話をしました。今回はその“生活編”です。


子どもと「一緒に暮らす」仕事

児童自立支援施設の職員の仕事を一言でいえば、

「子どもと一緒に生活すること」です。

私が勤務していた施設は、職員も子どもと同じ建物に住み込み。 背景はさまざまですが、虐待や発達特性などから非行に至った、あるいはその可能性がある子どもたちが入所していました。

家庭に戻すことが難しく、児童養護施設などでも対応が難しいときに措置されることが多い施設です。


ある一日の流れ(平日業務)

• 6:00 子ども起床(職員はそれよりも前に起床)

• 掃除 → ラジオ体操 → 掃除

• 朝食

・洗濯

• 午前授業 → 昼食 → 午後授業(職員が担当)

• スポーツ(マラソン・球技・水泳など本格的に)

• 掃除 → 学習時間 → 夕食 → 自由時間

• 22:00 子ども就寝 → 職員の事務作業、夜間対応、無断外出時や緊急対応など


日中は時折、児相との会議や保護者面会などの対外対応、いつの間にか施設からいなくなっている子の捜索対応が入ったりします。

休日日課は少しのんびりできましたが、行事やイベントは常に全力。体力も気力も総動員の毎日でした。


スペックおばけの同期たち

新生活が始まった4月、同期は私を含めて5人。

• 元・教員 • 有名大学法学部卒

• 有名私大卒

• 旧帝大大学院卒

• そして私(私立文系・運転免許あり)

圧倒的な学歴・経歴の前で、正直「場違い感」を強く感じました。


半年無視される

ある日の日中の授業中の出来事でした。

私が担う授業中、ある子が最前列席でスポーツ新聞を読み出し、私が今授業中だからしまうように伝えると「ッチ…」と舌打ちを一発放ってから半年その子に無視を受けるようになりました。挨拶をしても無視、こそこそ私の悪口を聞こえるように言ったり、集団を巻き込む無視をされました。

なかなか有効にこちらのメンタルを削ってくれるの参っていました。しかも寮担当の子なので住み込みなので逃げ場もなく結構地獄でした。当時その子は親からの激しい虐待を受けていたので、大人への不信感は計り知れないものがあり、そんな関わりの中で私自身も洗礼を受けたというか、試されていたと今になって思います。最終的にはこちらも根負けせず、挨拶をし、話をかける、日課の中でわざとなんかそばにいたり、一緒に過ごせるように仕掛けるなど関わり続け、関係は修復しています。



同期の脱落

しかし、そんな関わり難さのある子と生活していくうちに優秀な同期たちも次第に疲弊していきます。

子どもと真剣に向き合うからこそ、自分を削ってしまう。ある同期は体調を崩し、そのまま退職することに。 退職の知らせは大きなショックでした。

「どんなに優秀でも続けられないことがあるのか…明日は我が身なのか…」

「この現場で踏ん張る意味は何だろうか…」

そんな問いを突きつけられた瞬間でした。


「いなくならない」という意味

子どもたちからは暴言や無視など厳しい関わりも多く、心が折れそうになることは上記以外でも多々あります。そんな中で、ある子が言ったひとことが忘れられません。

「ここ、職員がずっといるんだよね。なんでいなくならないんだろう、不思議な私がいた児童養護施設は職員は都合悪くなったら退勤時間だと言ってすぐ帰るし、たまに泊まってるけど。あと良い子としか絡みにいかないし、ここみたいにずっと大人がそばにいるってことはないんだよね」

とめちゃくちゃ嬉しそうに話していたことがありました。


その子に“一緒に生活すること”の本質を教えられました。

親の代わりにはなれなくても、“そばに居続ける大人”がいることは、子どもにとって大きな意味を持ちます。

子どもに悪態つかれても、その子の支援になっていたのかとわかると自分は役にたっているのかなとすこし嬉しくなりました。



一緒に暮らす支援

多くの施設が通勤制で、職員が交代で勤務するのが一般的です。朝起きて寝るときも同じ大人「子どもと日常を共にする」、そんな支援は少数です。

自分が住み込みで過ごした経験は、里親支援の仕事に携わる今でも大きな財産になったと思います。 「一緒に生活する」 シンプルですが、とても奥深い支援の形だと今でも感じています。私は施設で住み込みをしていましたが、里親として子どもと一緒に家庭を過ごす経験はありません。ですが里親という存在はとても尊いという事はわかります。


次回は【キャリア第三章】

「児童養護施設へ転職。そして、里親支援という道へ」

~つづきもぜひ読んでください~

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