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  • mune

血の繋がりを超えて


私は、母子家庭で育ったのですが、父親がいなくて寂しいと思った記憶はありません。


「お父さんって仕事何しているの?」と聞かれて、「お父さんいない」と伝えたときの他人の気まずそうな顔を見るのが嫌だったくらいです。



私は、片親であるとか、親が家にいられる時間が少ないということが、子育てにおいてそれほどマイナスなことであると思っていません。


もちろん、人それぞれであると言えばそれまでですが、親がいたかどうかということよりも、親を含めた周りの大人が、どうやって向き合ってくれていたかというところが一番大事なことだと感じています。



私の場合、母はもちろんですが、祖母や叔母らが本当に可愛がってくれました。


母は、分かりやすい愛情表現をするような人ではなかったのですが、祖母や叔母は、いつも、いくつになっても「可愛い可愛い」と言ってくれるような存在でした。


母だけでなく、そういった人たちからも大切にされてきたことは、私にとって非常に大きかったと思います。


ただ、当時の私にとっては、それが通常であり、当たり前であったので、"愛されている"とか"有り難い"と思ったことはありません。


施設で働くようになって初めて、それがとても有り難いことだったんだと後々はっきりと気づけたような感覚があります。


施設で暮らす子どもたちの様々な生い立ちに向き合い、寝食を共にして、そこで起こる数々の問題と向き合ってきたことで、子どもの育ちに“本当に必要なもの”が、はっきりと浮かび上がってくるような感覚を覚えたといいましょうか…そんな感じです。


言葉で言い表すことができることなんて本当に僅かですが、理屈ではなく心と身体で感じてきたことが、今の仕事にも生きていると思っています。



ちなみに祖母は後妻として嫁いできた人で、母とそれほど年も離れておらず、当然私とも血の繋がりはありません。


そんな祖母が私のことを無条件に受け入れてくれたことは、「子育てに血の繋がりは全く関係ない」と確固たる想いにさせてくれた大きな機縁だったと思いますし、

当時20代だった私が里親として子育てしようと決意したことと無関係ではないように思っています。

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