心理検査


 病院で働いていた頃、心理士の仕事として面接(カウンセリング)以外に心理検査をすることも多くありました。特に、知能検査と性格検査を中心に実施していました。医師が診断するうえでの参考になるよう、結果にあらわれる特徴から、疾患の可能性があるかどうかを報告書にまとめていました。複数の検査を1回、または2回に分けて行い、およそ2週間後にご本人にも結果をお伝えしていました。

 知能検査、性格検査以外にも発達検査や認知症検査などたくさんの種類の検査があります。うつなど特定の疾患かどうかを評価するために作られた検査もありますが、実際には1つの検査でわかることは、限られています。そのため、いくつかの検査を組み合わせてその人の全体像を明らかにしようとしています。検査を受ける方にも負担がかかるようなものもあり、特に自らが検査の実施を希望されていない場合は、身構えて受けられる方もいらっしゃいました。


 子どもに行う知能検査や発達検査にもいくつか種類があります。それらは、必ずしも発達障害かどうかを診断するためのものではありません(※現在では自閉スペクトラム症と呼ばれていますが、ここでは発達障害と表記します)。あくまで特性や得意不得意な分野を知るためのものです。結果は、様々な要因によって変動することがあります。そのため、IQなどの数字に注目するのではなく、どういうところが苦手で、どういうことが得意なのかという内容を把握することが大事だと思います。

 大人の方で、社会生活を送る中で業務や対人関係においてなんらかの困難が生じ「自分は発達障害ではないか?」と考えたり、会社や周りの方からすすめられたりして検査を受けに来た、という方がいらっしゃいました。検査の結果だけでなく、発達障害かどうかの診断基準として、基本的には発達早期、幼いころからその特徴があったかということが確認されます。大人になって受診された方の中にも、幼少期の困りごとが日常生活や学校生活では大きな問題にならなかった、または見過ごされてきた可能性があります。また、これまで育ってきた環境や事情によって発達障害のような特徴を示す場合もあります。この場合も検査の結果だけで判断することは難しいです。

 発達障害であっても、療育など小さな頃から親や自分が付き合い方(対処の仕方)を知っていると、その後の生活もスムーズに送れるようになることが多いようです。また、発達障害ゆえに叱られる、人づきあいがうまくいかないなどの経験が増えると、二次障害(うつ病や不安障害などの症状がでること)が生じることもあるため、自分自身のことを知ることは大切です。


 心理検査を希望して受けられる背景には、悩みやモヤモヤを解決することを望んでいる場合が多いと思います。結果が、落ち込んだりつらい気持ちになったりするものではなく、より良い生活を送るうえでの参考になることとしてお伝えすることを目指しています。