体内記憶



長男が4才の頃、車の助手席で突然話し始めた。


お腹の中は冷たくて狭くてね

僕、早く出たくて、たくさん蹴ったんだよ。

それから気がついたらママの顔が見えてきたんだよ。


生後10か月で乳児院から我が家に迎えた長男。

突然の体内記憶の告白に驚いた。

本来は暖かくてふわふわのお腹の中のはずなのに

彼にとっては、居心地の良いところではなかったんだ。

一生懸命、蹴ってた…。だから1ヶ月早く緊急帝王切開で生まれたんだね。


でも、最初に見えたのは、いや、覚えているのはママになった私の顔。

健気な彼の話にただ、「そうだったんだね、頑張ったね。お母さんのところに来てくれてありがとう」

と言いながら涙が止まらなかった。


彼の話には続きがあります。

ママの顔見て(うゎあ、かわいい人。僕、この人と結婚したい!)って思ったんだけど、隣に男の人がいて、その人がパパだったんだよ。なんだ~って思ったよ。

ですって(*^▽^*) 


体内記憶について話したのは1度きりでした。


近頃では反抗的な態度や生意気なことばかりの思春期男子になりました。

すっかり私のこともおばさん扱い。

あの頃が懐かしいな。

思春期の彼にもう一度、体内記憶と可愛いくて結婚したくなったママの顔の話、聞いてみようかな。

思春期の隙間に時々見える幼い頃のままの彼にキュンとする私です。