『お互い様』 よく使う言葉の中でも好きな言葉のひとつです。意味を調べてみると、<双方が同じ状況にあること>とあります。ただ、私にとってのこの双方は必ずしも目の前の相手ではなかったかもしれません。長い人生の中で助けてもらわなければならないとき、助けてあげられるとき、そんなタイミングはいつも双方にとって同じとは限らないと思うのです。それでも人は一人である日突然、今ある姿で生まれてくるわけではありませんから、どこかで必ず誰かに助けられ、支えられながら生きているのだと思います。
私自身、記憶に残っている限りでもたくさんのいろんな人に助けられてきました。自分自身の病気や入院もあれば、親の病気や介護、出産時や子どもたちのけがや病気、入院、ワンオペ育児に付随して起こる日常の困りごとなど、そのたびに職場や近所の方、友人たちに迷惑をかけましたし、助けてもらいました。本当に感謝しかありません。そして、申しわけないことにその方たちに私が何か助けになるようなことが出来たか、私と同じような状況にあったというと、必ずしもそうではないのです。もちろん、感謝の言葉やお礼はその時のできる限りの範囲でさせていただきましたが、 『お互い様』 とは言えない状況だったと思います。
先日、食事の為に立ち寄ったレストランで、お隣に赤ちゃん連れの若いご夫婦がいらっしゃいました。赤ちゃんを交代であやしながら食事をされていましたが、なかなか泣き止まない赤ちゃんに苦戦している様子でした。途中、ご主人が赤ちゃんを抱っこして外に出たりもしていましたが、結局そのご夫婦は周囲に謝りながらお会計を済ませて出て行ってしまいました。テーブルにはまだ料理がたくさん残っていましたので、居心地が悪かったのだと思います。誰かが文句を言ったり、嫌な顔をしたわけではありませんでしたが、迷惑をかけてはいけないと思われたのでしょう。ご夫婦が店を出て行かれたあと、何か手伝ってあげることはできなかったかなあ・・・と少し悔やまれました。
ひとに迷惑をかけない という文化があるからこそ、日本の治安の良さが保たれているという側面もあるかと思います。それでも必要なときには臆することなく他人に甘えたり、助けを求めることが出来る環境や雰囲気を自然と作ったり、手を差し伸べてあげられる、そんな人になりたいなと思います。
この先もずっと私なりの『お互い様』 を大切に、その相手が今はだれか分からないけれど「お互い様ですから」と声をかけて手を差し伸べることができたらいいなと思っています。
ひとりひとりの『お互い様』がずっとずっと先まで繋がっていけば、その先にはきっと優しい地域、社会が待っているのではないかな・・・と期待しながら地道に『お互い様』を続けていきたいと思います。
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