里親の始まり



毎日、いつ委託の電話があるか待ち望んでいました。

うわさで聞いていた通り、ある日の夕方、我が家の電話が鳴り「8ヶ月の男の子なんですけど…。」

待っていたのに天と地がひっくり返るくらい驚いて、担当者さんが言う言葉に返事をすることで精いっぱいでした。

覚えているのはその子が保護されてからも、あまり泣いたり笑ったりせず、表情がないこと。不安もよぎりましたが(大丈夫!私たちが家族になる!何とかなる!)というへんな自信がありました。夫も「もちろん、断る理由はないよね。」とその子を迎えることが決まりました。


初めての面会。ドキドキしながら部屋に入ると食事を摂っている所でした。食べさせてもらうのに早く!と言わんばかりに大きな口を開けて要求しています。彼の元気な食べっぷりに、表情のなさの心配も吹き飛びました。なんて逞しくて可愛いんだ!やっと会えた!この子と家族になりたい。お父さんとお母さんにしてもらいたい!もう大丈夫、迎えに来たよ。そんな思いでいっぱいでした。


1週間に2~3回の面会でと言われましたが、乳児院まで電車とバスを乗り継いで張り切って2日に1回のペースで面会を重ねました。会えることが嬉しくて楽しくて、彼との時間を満喫し、一人帰るときの寂しさはひとしおでした。週末しか面会に行けない夫は毎晩、私の話を楽しみにして、週末の面会は自分の番とばかりに彼を離しません。この時から夫婦の会話は子どものこと中心になっています。

面会中の外出、外泊は楽しんだというより、子どもを連れて歩くことに緊張し、いつものショッピングモールが別の風景に見えました。


そして、1か月後にわが家で暮らし始めることができました。

ここから起きる想像を超える様々な出来事を知らない、幸せな穏やかな始まりでした。