猫との暮らし


子育てがひと段落した頃、我が家に猫がやってきた。


次男が大学生だった時、まだ雪が残る道端で生まれたばかりの子猫を拾った。北陸の春はまだ冷たく、4月になっても雪が降る日があるという。そんな冷たい春の日に道端で子猫は今にも消えそうな程小さな泣き声をあげていた。


 

 下宿先のアパートでまだ眼も開かない子猫にスポイドでミルクを与え、濡れた体を拭いて、毛布で温めてやった。今までペットを飼ったことがないのにどうして子猫を拾ったのか、次男はよく覚えていないと話す。ただ、その時は子猫をそのままにして見捨てることができなかった、そんな心境だったのだろうと思う。そして、小さな命は救われ、彼は生き続けることができた。

 

 2年間アパートで次男は猫と二人?暮らしをした後、卒業と同時に猫を連れて我が家に戻ってきた。猫はまだ2歳になったばかり、慣れない我が家の中を隠れる場所を探して落ち着かない様子だった。その姿はまるで転校生のように緊張し、少年のような鋭い眼差しをしていた。


 猫は、少しずつ我が家に懐いていった。1年もたつとまるで家主のように我が物顔で家の中を走り回り、自分の居場所を作り上げた。次男が家を出た時も少し寂しそうな表情を見せたが、その頃にはもう我が家が自分の家になっていた。


 それから、歳を重ねるごとに猫は青年から大人になり成熟していった。じゃれて遊ぶことも多かったが、一緒にソファーで何気ない日常を静かに過ごすことも次第に多くなっていった。仕事で疲れた時も辛いことがあった時も、彼はずっとそばに寄り添ってくれた。何も語らなくても、お互いが通じ合っていることを次第に実感できるようになり、気が付くと、なくてはならない存在として僕の「心の友」になっていた。


続く・・・