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支援によって傷つく里親

mune


私が里親になった当時(約20年前)、児相にも施設にも里親支援専任の職員は存在していませんでした。それでも、里親同士で集まって話をしたり、一緒に子どもを連れて出かけたり、勉強したり‥。それは里親である私にとって欠かすことのできないものでした。

今でも里親同士の繋がりや支え合い(ピアサポート)が里親にとって最も欠かせない支援のひとつであるという考えに変わりはありません。


里親制度において専任の職員による支援が行われるようになったのは割と最近のことと言えると思いますが、様々な支援が増えたことで、その支援によって傷つく里親も増えてきたように感じています。もちろん他人事ではなく、相談員としてこれまでに自分が関わったことで不快にさせたり傷つけてしまったこともあったと思います。(この場を借りてお詫びを申し上げたいくらいです。)


里親支援において絶対に避けなければならないことは、支援という名のもとに里親家庭を掻き乱し、取り返しのつかない結果に至らせてしまうことです。

しかし、多くの支援(目)が入るようになったことでそのようなケースも増えてきたように思います。よっぽど何もしない方が良かったのではないか‥と思えるようなこともあります。


里親への支援(目・関心含む)が増えることが悪いことだとは思いませんが、支援が増えるということは、現状のままではそういった可能性も生じるということです。

里親支援に関わるものは、まずそういった現実に対してしっかりと目を向けなければなりません。


特に強く感じているのが、子どもとその実親、そしてその育ちを繋いでくれた里親を想いやる気持ちや敬う気持ちがない指導的な立ち位置が軸になっている支援はうまくいかないばかりか取り返しのつかない結果に至らせてしまうことがあるということです。

個人的には、里親自身の想い、価値観、宗教、生活習慣、こだわり等を尊重し敬うことなしに里親の支援は成り立たないと思っています。


誰が悪いどこが悪いということが言いたいわけではありません。支援に関わるもので、その家庭を崩壊させようという人はいません。しかし、結果的に崩壊に導くような支援を行なってしまうことがあるのです。


今ハッキリしていることは里親支援の仕組みがまだ発展途上の段階にあり道半ばであるということです。

必要なのは漠然とした支援ではなく、経験と反省を積み重ね体系化された支援の仕組みです。その仕組み作りは体感的に何十年とかかるものだと思っていますが、少しずつかたちになってきているところもあります。


支援者目線だけで良い仕組みはできません。

里親一人ひとりの想いと言葉が必要です。

子どもの心の声を聴く姿勢と「この子を守りたい!」という“たぎるような想い”が必要だと考えています。


ぜひ皆さんで声をあげていただいて、一緒に里親支援(=子ども支援)の仕組みをつくっていきたいと強く願っています。


これまで流してきた涙を決して無駄にしないでいただきたいのです。

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