私は伊豆半島の漁師町で生まれ育ちました。海と山に囲まれた町で、時代的なこともあると思いますが、自己責任でどこでも遊び場となり、秘密基地を作ってお茶を沸かして飲んでみたり、工事現場に置いてある道具を使って公園を作ったり、波止場につないである船にのったり、山に登っては道なき道を進んで反対側へ下山してしまったり、とにかくやりたいこと、思いついたこと、楽しそうなことは大人に許可取ることなくやっていた気がします。
両親共働きで忙しくしていたので、私がどのように過ごしていたか知らなかったし、私もあまり話したことがなかったように記憶しています。
高台からの景色や、自分の背丈よりも高い草をかき分けて進む道や草木のにおい、天気によって色の変わる海、潜って獲ったサザエを海水で洗って食べた味、べたつく海風、毎日が五感を刺激し、開放的で自由で贅沢な毎日だったと時々振り返っては懐かしんでいます。
あの経験があったからこそ、日常にある小さな幸せに気づき、その幸せの積み重ねで心を満たし、何か悩んだ時もしばらく落ち込むことはあっても、気持ちを切り替えられるのかな、と思ったりします。
また、子どものようにわくわくしたり、うっとりしたり、心揺さぶられることがたくさんあり、嬉しい、心地よい、楽しいなどの感覚を人より敏感に感じるような気がしています。
たとえば、最近で言うと、10月には出勤するたびにゆうりんの園庭にある金木犀の香りに包まれてうっとりしながら出勤できたり、駐車場からほだかの里に向かうまでにいろんな猫に出会えてわくわくしたり、とても寒い中半袖で玄関先を掃除されてる方がいてすご~!!!と思ってツボにはまて楽しい気分で出勤できたり。
そしてここしばらくは、ゆうりんの裏の庭のもみじの紅葉が素晴らしくて、出勤するたびにここのもみじどれだけの人に見てもらっているんだろう、ここにもみじ植えてくれた方に感謝!と思いながらゆうりんの門を入り、今日もおいしそうな焼き芋が出来そうな落ち葉がたくさん落ちてる~と思いながら通っています。
ちょっと話がそれましたが何を言いたいかというと、好きなもの、楽しく感じられるものがたくさんあると、嫌なことを考える時間が減ったり、好きなことをすることで気持ちが穏やかになり、よし、頑張ろうという気持ちになれるのです。日常の些細なことでもちょっと止まって見方を変えたり、意識することで興味も広がります。興味が広がるとそのことからまた関連した別のことへも興味が広がり、視野も広がっていきます。そして、そこでたくさんの人と出会い、色々な価値観に触れられます。
私はこれまでたくさんの失敗をしてきましたが、そのたびに好きなこと、楽しいことに、助けられ、たくさんの人に支えてもらってきました。
本当に山あり、谷ありの人生ですが、なんとか子育ても終盤に差し掛かり、今は娘たちが好きなこと、楽しい!わくわくする!と感じられる心をもって、巣立っていってくれることを願っています。(寂しいから巣立っていってほしくないけどいつまでも一緒にいられないし、いたらいたで余計なことが目について口出ししちゃうので、程よい距離で見守れたらなと思っています。)
たくさんある小さな幸せの中で、私のここ1番の贅沢タイムは、緑おおわれる静かなキャンプ場でロッキングチェアに揺られながら昼寝することです。
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